過酷な産業環境用の照明の選定方法
2017年10月6日
この記事では、産業環境での照明に関する一般的な課題、産業分野のユーザーが留意すべき規格と極端な条件での考慮点について説明します。各施設に合った適切な照明の選定にお役立てください。
産業環境での照明に関する一般的な課題
産業施設にはそれぞれ多様なタスク、機械、目的がありますが、いくつかの共通の特徴があります:
- 多くの産業施設は天井が高く、広く開かれたスペースがあり、非常に細かい作業や危険を伴う作業が行われるため、各施設に合った (明るい) 照明ソリューションが必要になります。
- 照明システムは、極端な温度、ほこり、湿度などの過酷な条件に耐える必要があります。
- 照明は可動設備や重機にさられることがあります。
- 産業施設にはデリケートな設備が置かれていることが多く、低品質の照明から生じた電気的ノイズによってそれらが損傷するおそれがあります。それとは逆に、作業スペース内にある設備から生じる電気的ノイズによって照明システムが損傷する場合もあります。
- 産業分野によっては、照明器具の故障または破損による汚染を防ぐために、消耗品やその他の製造された製品の保護が衛生基準によって規定されていることがあります。
産業用照明の用途
産業用照明はエリア照明とタスク照明に分類されます。エリア照明にはハイベイとローベイの2種類あり、倉庫などのオープンスペースで広い面積全体を十分に照明できる高出力の照明が必要とされます。
一方、タスク照明は、一定の空間でエリア照明を強化させて、作業を行う場所のみを照明します。光源を作業場所に近づけることで、低出力の照明でも推奨照度を得ることができます。
タスク照明は次のような用途に使用されます:
- 作業員組立セルおよびワークステーション
- 機械/ロボット組立セル
- 電気パネルおよびその他のエンクロージャ
- 検査ステーション
- コンポーネントの作業を行うためにオペレータが中を見れるようになっている機械
産業用照明の性能基準
特定の用途に必要とされる適切な光のレベルを知ることは容易ではありません。光が少なすぎると危険につながる可能性があり、光が多すぎると不快なグレアが生じ、余分な費用がかかります。建物の構造や産業空間の利用方法は多岐に渡るため、あらゆるケースに対応する光出力を推奨することはできません。
北米照明学会 (IES)から発行されている包括的な照明ハンドブックには、100種を超える産業タスクおよび製造タスクごとに適切な光のレベルと配光がまとめられています。このような理由から、照明デザイナーは初期評価で各施設の空間の一覧を作る際、各空間の人数とその役割も必ずチェックします。
下の表は、さまざまな産業用途と作業員の年齢に応じた推奨ルクスレベルをまとめたものです。各空間、タスク、作業員に十分な照度レベルを確保するために、ルクス計を使って現在、以前、以後のルクスレベルを測定してみてください。 詳細については、ルクス/ルーメン計算機を参照してください。
Application | Recommended Lux Ages 25-65 | Recommended Lux Ages 65+ |
---|---|---|
Application Warehouse | Recommended Lux Ages 25-65 100 | Recommended Lux Ages 65+ 200 |
Application Work area | Recommended Lux Ages 25-65 150 | Recommended Lux Ages 65+ 300 |
Application General assembly | Recommended Lux Ages 25-65 1,000 | Recommended Lux Ages 65+ 2,000 |
Application Detailed assembly | Recommended Lux Ages 25-65 2,000 | Recommended Lux Ages 65+ 4,000 |
Application Fine inspection | Recommended Lux Ages 25-65 5,000 | Recommended Lux Ages 65+ 10,000 |
極端な条件での照明についての考慮点
照明製品には、典型的な産業施設内の過酷な条件に耐えるように設計されているものもあります。 産業環境用の照明を考えるときに、次の3つのことを考慮する必要があります。それは、水、オイル、ほこりに対する耐性、衝撃や振動に対する保護、そして、高温でも安全かつ効果的に照明が機能するようにする温度保護機構です。 あらゆる用途でこの3つすべてが要求されるわけではありません。 特定のアプリケーション要件については、エンジニアにお問い合わせください.
水、オイル、ほこり
画像:WLS27 LEDストリップライトは機械内部の照明に最適-- IP66、IP67、IP69K飛散防止構造
照明も他の電気器具と同じように、侵入保護 (IP) コードに基づいた等級付けが可能です。 IP67等級またはそれ以上の照明はほこりや水に耐性があり、機械照明や工作機械環境をはじめとする多様な産業用照明の用途に最適です。IP67等級のエンクロージャは水の侵入に一時的に耐えることができます。
IP68g等級の照明はオイルおよび水の浸入に耐性があります。IP69K等級のエンクロージャは、食品、飲料、医薬品製造の一般的な衛生手順に必要とされる高圧洗浄環境に耐えることができます。 IP等級とその意味について詳しくは、この記事をお読みください 。
振動と衝撃
ほこりや水に耐性があることは重要ですが、産業環境で使用される照明器具は重機などによる振動や衝撃に耐えることも必要です。白熱灯や蛍光灯にはガラスのエンクロージャが使用されており、衝撃を受けるとガラスが飛散して作業員や設備を危険にさらすおそれがあります。
特に細いフィラメントやその他のデリケートな部品を使用している場合、振動が続くと寿命が短くなることがあります。その一方で、LED照明にはガラスのエンクロージャやフィラメントが使用されておらず、振動や衝撃に非常に強い特徴を持っています。
極端な温度
産業施設は極端な周囲温度にさらされることがあるため、それを考慮した上で最適な技術を選択することが大切です。LEDは従来の技術に比べて低温環境に耐えることができます。LED照明は温度が-40 °Cの冷凍倉庫に最適です。
LEDメーカーは、熱を放散させる高品位のハウジング材料を用いたり、温度上昇に伴い自動的に減光する温度センサを使用したりして、高温を考慮した改善を継続的に行っています。
画像:WLS27 LEDストリップライトには自動温度保護機能が組み込まれている。50 °Cを超えると、熱を管理し、製品の寿命を保護するためにライトが暗くなります。